リユース業界の注目スタートアップ企業の事例を紹介
2025.04.27

リユース業界では近年、スタートアップの活躍が目立っています。背景には、サステナブルな消費への関心の高まりがあります。「良いものを長く使う」という価値観が広がり、Z世代やミレニアル世代を中心にリユースを選ぶ動きが加速しています。
環境省によると、2023年の国内リユース市場規模は約3.1兆円に達し、2030年には4兆円規模に拡大する見通しです。こうした成長性は、起業や転職の観点からも魅力となっており、ビジネスチャンスを感じる人が増えています。
本記事では、リユース業界で注目されているスタートアップの事例やその特徴、成功のポイントを解説します。
出典:環境省『循環経済の推進に向けた取組』
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リユース業界でスタートアップが注目されるのはなぜ?
リユース業界は、近年急速に存在感を高めるスタートアップの登場によって、これまでのイメージを大きく刷新しています。これまでの「中古品を売買するだけ」というイメージから、クラウドやAIなどのデジタル技術、海外市場を視野に入れたグローバル戦略を取り入れる企業が増え、多彩なビジネスモデルが生まれています。
こうした動きは転職市場でも注目されており、新しいキャリアの選択肢としても関心が高まっています。では、なぜ今リユース領域でスタートアップが急増しているのでしょうか。その背景や広がるビジネスチャンスについて見ていきます。
なぜ今リユーススタートアップが増えているのか?
近年、リユース業界へのスタートアップ参入が加速しています。背景には、サステナブルな社会への意識の高まりや、リユース市場の拡大、さらに東南アジアや欧米を中心とした越境需要の増加があります。
従来の中古品売買にとどまらず、AIによる自動査定やクラウド型在庫管理システム、越境ECといったデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルが次々と登場。生成AIを用いた商品説明やチャット接客、スマホ一つで完結する出張買取など、利便性と体験価値の向上を両立するサービスも広がっています。
こうした革新は、効率性と社会貢献の両立をめざす起業家や投資家にとって大きな魅力となっており、今後もファッション、家電、ホビーなど多分野で新たなスタートアップが続々と挑戦することが期待されます。
消費者のサステナブル志向が背景に
大量生産・大量消費からの脱却が進み、「良いものを長く使う」という価値観が社会全体に広がっています。特にZ世代では、メルカリ総合研究所の2024年度調査で71.1%が直近1年間に中古品を購入した経験があるとされており、リユースが若年層の消費スタイルとして定着しつつあることがわかります。
さらに、Z世代やミレニアル世代の消費者は、ファッションや家電を選ぶ際に環境負荷の少なさや循環型ライフスタイルを重視。こうしたニーズに応える形で、AI査定や出張買取などデジタル技術を駆使した利便性の高いリユースサービスを展開するスタートアップが存在感を増しています。これは、大手には難しい“スピード感×柔軟性”による新たな価値提供として注目されています。
https://reuse-tenshoku.com/column/column-67/
海外需要の広がりと国内の隠れ資産市場
日本国内には、長年使われずにしまわれたままの衣類や家電、趣味用品など、いわゆる「タンスの肥やし」と呼ばれる中古資産が大量に存在しています。これらを適切に回収・再販することで、眠っていた価値を再び流通に乗せる動きが活発になっています。
さらに、近年では東南アジアや欧米など海外市場で「日本製の中古品」への信頼と人気が高まり、グローバル展開を視野に入れるスタートアップが増えています。越境ECや海外法人との提携を通じて、日本発のリユースビジネスを海外に届ける動きも進んでおり、スタートアップにとっては国境を超えた大きなビジネスチャンスとなっています。
https://reuse-tenshoku.com/column/column-25/
リユース市場の成長性とビジネスチャンスとは?
リユース業界は今や、環境と経済の両面で注目される成長産業となっています。消費者の意識変化に加え、オンライン取引やデジタル査定などの技術革新も後押しし、市場規模は拡大を続けています。
ファッションや家電、ホビー、家具など多様な分野で新しいサービスが生まれており、スタートアップにとっては柔軟な発想で参入しやすいタイミングでもあります。ここでは、そうした市場の広がりと具体的なビジネスチャンスを紹介します。
年々拡大する中古流通市場
日本のリユース市場規模は、2020年代に入ってからも安定的に成長を続けています。環境省の調査によると、2023年の国内リユース市場は約3.1兆円に達し、2030年には4兆円規模に拡大する見通しです。
ファッション、ブランド品、家電、ホビーなど幅広い分野で二次流通が活発化しており、メルカリや楽天ラクマといったCtoC(個人間取引)プラットフォームの普及も市場拡大の大きな推進力となっています。
さらに、Z世代やミレニアル世代を中心に「良いものを長く使う」という価値観が浸透し、サステナブルな消費への意識が高まっていることも成長の追い風です。こうした背景から、新たに事業参入を目指す起業家や、キャリアの選択肢としてリユース業界を視野に入れる転職希望者も増加傾向にあります。
BtoB、BtoCの両面で広がる可能性
リユースビジネスの魅力は、BtoC(消費者向け)だけでなく、BtoB(企業間取引)にも大きな可能性があることです。小売業者の余剰在庫を一括で引き取る在庫再販モデル、法人向けの中古OA機器・家具の再流通など、多様なニーズに対応したサービスが拡大しています。
さらに、AIを活用した自動査定や生成AIによる商品説明、クラウド型在庫管理システム、SNSを駆使したダイレクトマーケティングといったテクノロジーの導入により、参入障壁が大きく下がりました。これにより、スピード感のあるスタートアップが新しいビジネスモデルを次々と生み出し、国内外の顧客層を取り込む動きが広がっています。
どんなスタートアップが活躍している?
急速に進むデジタル化やサステナブルな価値観の広がりを背景に、革新的なアイデアやテクノロジーを活用するスタートアップ企業が次々と登場しています。
AI査定やクラウド在庫管理、越境ECなどを駆使して、新たな流通の形を生み出す動きが広がっており、従来の「買取・販売」の枠にとどまらないビジネスモデルが注目されています。環境配慮や社会的意義といった視点も重なり、転職先としても魅力が高まる中、ここでは国内外の注目スタートアップとその特徴をご紹介します。
注目の国内スタートアップ事例は?
日本のリユース業界では、既存の枠にとらわれない柔軟な発想で事業を展開するスタートアップが次々と登場し、存在感を高めています。
AIによる自動査定やクラウド型POSの導入、特定ジャンルに特化したEC運営など、テクノロジーとニッチ戦略をかけ合わせた新しいビジネスモデルが広がりを見せています。さらに、越境販売や自治体との連携に取り組む企業も増え、持続可能な社会づくりと事業成長を両立するケースも少なくありません。
ここでは、こうした注目の国内スタートアップを取り上げ、それぞれの特徴や強みをご紹介します。
NOVASTO|クラウドPOS「ReCORE」で店舗のDXを推進
NOVASTO(ノヴァスト)は、リユース業界向けのクラウド型POS・在庫管理システム「ReCORE(リコア)」を展開するスタートアップです。複数店舗やECサイトとのデータ連携をスムーズに行える点が強みで、リユース店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させています。近年は、Shopifyや楽天など複数のECモールとの連携強化や、不正取引検知機能の導入など機能拡張も進み、出品・販売業務の効率化と安全性の向上を実現。特にアナログな業務が多かったリユース業界において、業務効率と売上向上を両立させた事例として注目されています。
参照:株式会社NOVASTO
VELVET|ブランドリユースの新しい形を提案
VELVET(ベルベット)は、アパレルやブランド品の買取・販売を行う新進気鋭のリユース企業です。単なる買取販売にとどまらず、顧客体験を重視したスタイリッシュな店舗運営と、InstagramやYouTubeなどSNSを活用した積極的な情報発信が特徴です。ファッション感度の高いユーザー層から支持を集め、トレンドを取り入れたスタイル提案型のリユース事業として注目を集めています。
参照:VELVET
KLD|ファッション特化型のリユース事業と海外展開
福岡発のスタートアップKLDは、ブランド衣料の委託販売と買取を軸にしたファッションリユース事業を展開しています。撮影や商品説明のクオリティにこだわり、ECサイトを通じて全国のユーザーに商品を提供。近年は東南アジアへの輸出や現地法人との連携も進めており、日本発のリユースブランドとしての地位を確立しつつあります。
参照:株式会社KLD
海外で注目されている事例は?
リユースビジネスの可能性は、日本国内にとどまりません。世界的にも循環型経済への関心が高まる中で、グローバルな視点を持つスタートアップの活躍が目立っています。ここでは、海外市場で存在感を示している企業や、国際連携によって事業を広げる注目の事例を取り上げます。
ECOMMIT|国内外の回収・選別・再流通を担う循環商社
ECOMMIT(イーコミット)は、日本全国から不要品を回収・選別し、国内外で再流通させる循環型ビジネスを展開しています。家庭から出る衣料品や雑貨を無駄なく流通させるだけでなく、国内外のパートナーと協業することで、廃棄ゼロに向けた取り組みを推進しています。環境配慮とビジネスの両立を実現する企業として、国際的にも注目されています。
参照:株式会社ECOMMIT
グローバルパートナーとの連携とサーキュラーエコノミーの実現
リユーススタートアップの中には、ヨーロッパやアジアの大手企業と提携し、グローバル規模でのサーキュラーエコノミー実現を目指す動きも広がっています。例えば、欧州のファッションリユース企業との業務提携により、日本の中古衣料品を輸出し、現地市場で再販するケースも増えています。こうした連携は、単なる「国内ビジネス」にとどまらない成長モデルの一端を示しています。
今後の展望とリユーススタートアップの未来は?
リユーススタートアップは今後、より多様な分野と連携しながらビジネスの幅を広げていくと予想されます。消費者の価値観やテクノロジーの進化に対応するだけでなく、行政や既存業界との連携によって、循環型社会を実現する重要な担い手としての役割も期待されています。ここでは、業界連携や今後の成長キーワードをもとに、リユーススタートアップの未来を見通していきます。
どのような業界連携が進んでいく?
リユーススタートアップの成長には、異業種との連携が欠かせません。単独では解決が難しい課題に対して、メーカーや行政などとの協働を通じて新たな価値を創出する事例が増えています。ここでは、特に注目されている業界連携の方向性について見ていきます。
アパレル・家電などとの再販モデルの確立
近年では、大手アパレルブランドや家電メーカーとの連携が進み、製品のライフサイクル全体を見据えた再販モデルの確立が注目されています。たとえば、企業が自社製品のリユースプログラムをスタートアップと共同で展開することで、ブランド価値を保ちつつ環境配慮型の販売チャネルを構築する動きが広がっています。こうしたモデルは、持続可能な消費スタイルとしてユーザーからも支持されつつあります。
行政や自治体との協働による循環型社会の実装
廃棄物削減や資源の有効活用を目的に、自治体とスタートアップが協働する事例も増えています。回収拠点の設置や地場資源のリユース促進など、地域課題を解決する形での連携は、社会的インパクトが大きく注目されています。特に、行政のリソースとスタートアップの機動力を掛け合わせることで、循環型社会の実現に向けた取り組みが加速しています。
今後の成長に向けたキーワードとは?
リユースビジネスが次のステージへと進むためには、変化する市場環境に即した戦略が求められます。国内外の市場動向や資金調達の手法、そして環境対応など、今後の成長を左右する重要なキーワードを取り上げ、それぞれの意味と展望を解説します。
海外市場開拓
国内市場の成熟に伴い、多くのスタートアップが海外展開を視野に入れています。特に日本製の高品質な中古品は、東南アジアや欧米などでのニーズが高く、越境ECや現地パートナーとの提携を通じて販路を拡大する動きが活発です。海外市場を見据えた戦略を持つ企業は、今後の成長ポテンシャルが高いといえるでしょう。
サーキュラーエコノミーへの対応と資金調達力
リユースビジネスを持続的に成長させるためには、単なる売買の枠を超えて、製品の設計段階から再利用を前提とした仕組みづくりが求められます。サーキュラーエコノミーに即したビジネスモデルを構築することが、今後の差別化要因となるでしょう。また、その実現には資金力も重要であり、ESG投資やインパクト投資など新たな資金調達の手段を活用する企業が増えています。
まとめ
リユーススタートアップは、単なる中古品ビジネスの枠にとどまらず、テクノロジーやグローバル視点、そして社会課題の解決をも視野に入れた成長が求められています。業界や行政との連携、海外進出、サーキュラーエコノミーへの対応など、多方面での挑戦が今後の鍵となるでしょう。「リユース転職」では、こうした新たなフェーズに挑む企業への転職支援を通じて、業界の未来をともに創る人材を応援しています。